いかめし
昭和16年に誕生した函館本線森駅の名物駅弁です。うるち米ともち米を混ぜた生米をイカに詰めて爪楊枝でとめ、ボイルしたあと創業時から受け継ぐ秘伝のたれで味付けします。イカのやわらかさも特徴とされています。
食べる時期・場面
通年(森駅ホームの立売は夏期の約2週間のみ)
日本鉄道構内営業中央会の資料によると、記録が残る駅弁の通説は明治18年(1885年)の宇都宮駅にさかのぼり、中身はおにぎりとたくあんだったとされています。それから140年近く、駅弁は各地の米と海の幸・山の幸を組み合わせた名物として育ってきました。
この特集では、製造元やJR、自治体・観光協会の公式ページで確認できた、ごはんが主役の駅弁を地図にまとめました。釜めし・炊き込み、押し寿司・寿司、どんぶり・のせごはんの3つに分けています。販売駅や販売日、数量は変わることがあるため、買いに行く前に各製造元の情報を確かめてください。
色のついた都道府県をタップすると、その土地のごはん駅弁が出てきます。
※ 県の色は、紹介しているもの(いちばん上)の分類です。郷土の味は地域・家庭によって違います。
昭和16年に誕生した函館本線森駅の名物駅弁です。うるち米ともち米を混ぜた生米をイカに詰めて爪楊枝でとめ、ボイルしたあと創業時から受け継ぐ秘伝のたれで味付けします。イカのやわらかさも特徴とされています。
通年(森駅ホームの立売は夏期の約2週間のみ)
昭和25年に完成した長万部の駅弁です。ほぐしたカニ身をタケノコと一緒に釜で炒り、水分を飛ばして香ばしさを引き出すのが特徴です。白飯の上にカニ具、味付けしいたけ、錦糸玉子などを盛り、水気を吸う木製の折に詰めています。
通年
創業明治二十五年の吉田屋が手がけるロングセラー駅弁です。三味線の胴をかたどった弁当箱に〆鯖と〆鮭の押し寿司が入り、添えられた撥(ばち)で切り分けて食べます。八戸駅のほか東京駅や上野駅などでも購入できます。
通年
一ノ関駅の斎藤松月堂が手がける海の幸の駅弁です。リニューアルを経て2024年5月に再び発売され、蒸しウニとイクラ、茎わかめを組み合わせています。弁当箱は持ちやすい長方形の形に変わりました。
定番商品(販売日・数量は製造元・売店に要確認)
宮城の郷土料理を駅弁にした一品です。鮭の身を煮込み、その煮汁で宮城県産ひとめぼれを炊き、煮た宮城県産銀鮭といくらをのせます。いくらは別添えで、自分で盛り付けを調整しながら食べられるようになっています。
通年
こばやしがロングセラーと位置づける仙台名物の牛たん弁当です。牛たん焼きと麦飯の組み合わせで、ごはんには宮城県産ひとめぼれを使っています。紐を引くだけで温まる加熱式で、加熱時間は約5〜6分とされています。
通年
昭和22年に販売が始まった大館駅の名物駅弁です。秋田県産あきたこまちを、職人が配合する秘伝のスープと醤油でほんのり甘辛く炊き込み、甘く煮付けた鶏肉を合わせます。戦後に配給された米・砂糖・醤油・ゴボウを炊いたのがご飯の原型とされています。
通年
山形新幹線の開業にあわせて開発された米沢の駅弁です。山形県産米「どまんなか」をふっくら炊き、特製のタレで味付けした牛そぼろと牛肉煮をのせた牛丼風の内容です。米沢駅のほか東京駅や仙台駅などでも販売されています。
通年
大正十三年創業の郡山の弁当店・福豆屋の駅弁です。製造元は「おふくろの味を感じる、駅弁屋こだわりの二段のりべん」と紹介しており、のり弁を二段仕立てにしています。牛めしと組み合わせた「海苔のり牛めし」も用意されています。
通年
明治26年創業の松廼家と岩下の新生姜のコラボ駅弁です。新生姜を炊き込んだピンク色のご飯で、いっこく野州どりのそぼろを挟み、上に新生姜と玉子そぼろをのせています。黒酢ソースのとりつくねやうずら卵の岩下漬けも入ります。
通年
昭和33年に信越線横川駅で発売された釜めしです。コシヒカリを利尻昆布と秘伝のダシで炊き、鶏肉、うずらの卵、栗、ごぼう、椎茸、筍、杏子などをのせます。温かさを保てる陶器の釜に入っており、軽いパルプモールド容器版もあります。
通年
高崎の少林山達磨寺のだるま市にちなみ、昭和35年から販売されている駅弁です。醤油味で炊いた茶飯に山菜きのこ煮や鶏八幡巻、花豆煮、栗などを盛ります。赤いだるま型の容器は食後に貯金箱として使えます。
通年
千葉の県花・菜の花をイメージした千葉駅のベストセラー駅弁です。自家製の鶏そぼろといり玉子を敷き詰めた二色弁当で、あさりの串が箸休めとして添えられています。千葉駅のほか木更津駅でも扱われています。
定番商品(販売日・数量は製造元・売店に要確認)
東京の郷土料理を駅弁にした一品です。あさりのうまみを炊き込んだ茶飯に、江戸甘味噌と生姜であっさり仕上げたあさりの深川煮をのせています。東京駅の駅弁屋 祭の人気ランキングでも上位に紹介されています。
定番商品(販売日・数量は製造元・売店に要確認)
大正2年に発売された大船軒の鯵の押寿しを、当時の姿のまま伝える一品です。小鯵の半身を伝統の合わせ酢でしめ、押寿しに仕上げています。大船軒の駅弁は大船駅や鎌倉駅、藤沢駅などで販売されています。
通年
新発田三新軒が手がける新潟のちらし寿司駅弁です。新潟産米の寿司飯を大きな卵焼きが覆い、めくると海老、鰻、コハダ、イカが現れます。彩りに自家製のエビそぼろをのせ、新潟駅のほか東京駅でも販売されています。
定番商品(販売日・数量は製造元・売店に要確認)
越後の郷土料理「鮭の焼漬」を主役にした三新軒のロングセラー駅弁です。発売から50年以上にわたって、郷土色のあるお弁当として親しまれていると紹介されています。新潟駅の新潟三新軒やNewDays新潟東で購入できます。
定番商品(販売日・数量は製造元・売店に要確認)
神尾弁当が手がける押し寿司の駅弁です。厚みのあるカレイのえんがわを使い、脂ののったえんがわを独自の甘酢で締めて濃いうまみを引き出しています。新潟駅で販売され、東京駅の駅弁屋 祭でも人気商品として紹介されています。
定番商品(販売日・数量は製造元・売店に要確認)
富山駅で駅弁を営む源が1912年に販売を始めた押し寿司です。孟宗竹と笹を使い、曲げ物に詰めた寿司を竹とゴムバンドで押さえる形をとっています。全国駅弁大会では「西の横綱」と呼ばれ、富山の名産として定着しました。
北陸新幹線の車内や富山土産に
1961年に発売された福井駅の駅弁です。セイコガニの卵巣とみそを炊き込んだご飯に、紅ズワイガニのほぐし身とズワイガニのコロ肉を敷き詰め、カニ以外の具は加えていません。カニをかたどった容器は発売当初からのデザインです。
北陸新幹線の車内や冬の旅のお供に
福井駅構内で買える越前田村屋の押し寿司です。脂ののった鯖を片身まるごと焼いてから蒸し、職人が一本ずつ手で押して仕上げます。シャリには福井県産コシヒカリ3種のブレンド米と、大野市の老舗酢蔵の酢を使っています。
新幹線の車内や福井土産に
1985年にテレビ番組の企画から生まれた小淵沢駅の駅弁です。経木の折詰を二段に重ね、上段は京都「菊乃井」による胡桃ご飯、下段は東京「吉左右」による栗としめじのおこわが中心です。東西の味比べを楽しめる構成になっています。
定番商品(販売日・数量は製造元・売店に要確認)
高山駅の開業時から駅弁を販売している老舗・金亀館で一番人気とされる寿司です。2021年にはJR東海の催事で、特急「ひだ」を使って高山駅から名古屋駅へ毎朝直送され、会場で販売されました。
特急「ひだ」の旅のお供に
沼津特産の鯵を3種の寿司で味わう桃中軒の名物駅弁です。山葵茎入りの酢飯を山葵の葉で巻いた「にぎわい鯵鮨」、特製酢でしめた「ぬまづ鯵鮨」、大葉と胡麻を合わせた太巻きが入り、伊豆天城産の生山葵を添えています。
通年(春限定版もあり)
明治22年に静岡駅で弁当の立売を始めた東海軒が、明治30年に売り出した鯛めしです。製造元は「明治より変わらぬ味」とし、幕の内弁当と並ぶ看板商品と位置づけています。縦110×横150mmの小ぶりな箱に収まっています。
通年
1922年創業で名古屋の駅弁を作り続けてきた松浦商店の駅弁です。うなぎは愛知県の三河一色産を使っています。まずはそのまま、次に別添の薬味をかけて、最後に別添の出汁でお茶漬けにと、3通りの食べ方ができます。
東海道新幹線の車内に
2002年に発売された松阪駅の駅弁で、牛の顔の形をした容器が目印です。国産黒毛和牛のすき焼きを三重県産コシヒカリにのせています。ふたを開けると「ふるさと」のメロディが流れる、日本初のメロディ付き駅弁と紹介されています。
近鉄・JRの旅のお供に
1959年の発売以来、変わらない味を続けている松阪駅の駅弁です。国産黒毛和牛と三重県産コシヒカリを使っています。インターネットの「駅弁博物館」の全国駅弁人気投票で1位になったと、製造元のあら竹が紹介しています。
松阪観光の帰りに
1998年に発売された淡路屋の駅弁です。醤油飯の上に、たこの旨煮や穴子、季節の野菜を盛り付けています。容器は蛸漁に使う蛸壺を模して独自に焼いた陶器で、味と器の両方を楽しめる駅弁として親しまれています。
山陽新幹線の車内に
和歌山水了軒が創業当初から作り続けている看板商品です。鯛の好漁場として知られる紀淡海峡の小鯛を使い、塩加減を整えて締めた鯛と、ほんのり甘い酢飯を合わせた郷土のにぎり寿しです。和歌山駅で販売されています。
紀州の旅のお供に
紀南地方に伝わるさんまの姿ずしを、和歌山水了軒が駅弁に仕立てたものです。熊野灘を回遊するさんまを塩漬けにして使い、甘めの酢飯と合わせて一つずつ型で押しています。不漁の年は生産を中止することもあるそうです。
紀州の旅のお供に
1952年に販売が始まった鳥取の駅弁です。新鮮なうちにボイルしたかにの身を一本ずつ手作業で取り出し、地元鳥取産の米を丸釜で炊いた酢飯にのせています。八角形の容器はかにの甲羅に似せたもので、全国で最初に考案されたとされます。
山陰の旅のお供に
明治34年創業の松江の老舗・一文字家の駅弁です。境港で水揚げされた紅ズワイガニと、松江の郷土料理であるしじみのしぐれ煮を使っています。上にのせるだけでなく、すしご飯の中にもしじみが入っているのが特徴です。
特急やくもの車内に
島根県産こしひかりに、奥出雲の天然醸造みそと地元の酒で甘辛く炊いた島根牛をのせた丼です。真ん中にとろとろの玉子を添えています。京王百貨店の駅弁大会のアンケートで第1位になったと製造元が紹介しています。
山陰の旅のお供に
岡山の郷土料理「ばら寿司」を駅弁にしたもので、ピンク色の桃型の容器に酢飯と山海の具材を詰めています。製造する三好野本店は1891年の岡山駅開業と同時に駅構内で営業を始め、この祭ずしを代表商品としています。
山陽新幹線の車内に
創業者の上野他人吉が、宮嶋駅(現在の宮島口駅)の駅弁として売り出したのが始まりです。穴子のアラで炊き込んだ醤油味の飯に、焼いた穴子をびっしりと敷き詰めています。でき立てから2時間ほどたっても味わいが深まるとされます。
宮島観光の帰りに
大正10年から作り続けられている折尾駅の名物駅弁です。鶏肉とガラのスープで炊いたご飯に、甘辛く味付けした鶏肉、錦糸卵、刻み海苔を盛り付けています。炊き込みご飯の味付けは秘伝として代々受け継がれています。
鹿児島本線・筑豊本線の旅に
鳥栖駅と新鳥栖駅の構内売店で販売されている中央軒の駅弁です。鶏スープの炊き込みご飯に、甘辛く味付けした鶏肉、錦糸卵、刻み海苔を飾り付けています。製造元は「かしわめしの元祖」と紹介しています。
九州新幹線・長崎本線の乗り継ぎに
創業130余年の長崎の料亭旅館・坂本屋が手がける駅弁で、長崎駅のファミリーマートで販売されています。料亭旅館で受け継いできた伝統の味を手軽に味わい、長崎の旅の思い出にしてほしいという思いで作られています。
西九州新幹線の車内に
人吉駅弁やまぐちが作る昔ながらの駅弁です。出汁ご飯の上に甘辛いかんぴょうと和栗をのせ、辛子蓮根や椎茸の濃い味と栗の甘みを組み合わせています。熊本駅や博多駅のファミリーマート銘品蔵などで販売されています。
九州新幹線の車内に
人吉の清流の恵みを詰めた鮎の寿司で、人吉駅弁やまぐちが作っています。鮎の風味をそのまま届けることにこだわった一折です。売り切れ次第終了となる人吉の名物弁当で、熊本駅や博多駅のファミリーマート銘品蔵などで扱っています。
九州新幹線の車内に
大分駅の「豊後湯布院牛 うまい庵」で販売されているステーキ弁当です。自然豊かな高原で育ったおおいた和牛を使い、赤身の旨味がある柔らかな肉に、醤油ベースの甘辛いたれを絡めています。
特急ソニックや日豊本線の旅に
宮崎駅の改札口前で販売されている宮崎駅弁当の駅弁です。創業時から継ぎ足してきた煮汁で炊き上げた宮崎県産の肉厚な椎茸と、旨味のある出汁ご飯を組み合わせています。香りと風味を味わえる、ほっとする味わいの一折です。
日豊本線の旅に
西都城駅で販売されているせとやま弁当の駅弁です。炊き込みご飯の上に、甘辛く味付けしてスライスした鶏の胸正肉、錦糸卵、刻み海苔を彩りよくのせています。三世代にわたって親しまれてきた駅弁と紹介されています。
日豊本線の旅に
鹿児島中央駅の鹿児島銘品蔵などで販売されている松栄軒の駅弁です。えびの上品な甘みと和風だしをきかせた炊き込みご飯が主役で、特製醤油で味付けした煮物をはじめ、さまざまなおかずが添えられています。
九州新幹線の車内に
名前をタップすると、地図で詳しく見られます。
日本鉄道構内営業中央会の「駅弁メモ」では、駅弁第一号の通説として、明治18年7月16日に日本鉄道の宇都宮駅で、旅館を営む白木屋が販売した弁当が紹介されています。黒ごまをまぶした握り飯2個とたくあんを竹の皮で包んだものとされていますが、同会は、もとになった出典には弁当の内容の記述はないと注記しています。
同じ資料には、明治10年の梅田駅(現在の大阪駅)や神戸駅、明治16年の上野駅で販売されたとする説も挙げられており、最初の駅弁がどこかについては複数の説があります。
同会は昭和21年に設立された、JR6社の駅で構内営業を行う事業者の団体です。昭和63年には「駅弁」マークを制定し、会員が製造・販売する駅弁に限って使用しています。また平成5年には、「弁」の字が「4」と「十」に見えることなどから、4月10日を「駅弁の日」と定めました。
現地に行かなくても駅弁を味わえる場として、百貨店の駅弁大会があります。京王百貨店新宿店の「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」は2026年で第61回を数え、1月6日から21日までの16日間、約40の調製元が会場で実演販売を行い、現地から運ばれる輸送駅弁を含めて380種類以上が並びました。
会場では、その場で調製元が作る実演販売と、現地で作って運ばれる輸送駅弁が分かれているのが一般的です。目当ての駅弁がある場合は、どちらで売られるのか、販売期間が前半・後半のどちらかを事前に確認しておくと回りやすくなります。
製造元によっては、自社の通販で駅弁や関連商品を扱っているところもあります。日本鉄道構内営業中央会の会員が作る駅弁には「駅弁」マークが付いているので、選ぶときの目印になります。
釜めしや鶏めしのような炊き込みごはんを家で作るときは、調味料の入れ方と具ののせ方がポイントです。三菱電機の解説では、調味料は水加減の前に加えてよく混ぜること、具は米と混ぜずに表面に広げてのせること、具の量は米1カップあたり75g以下を目安にすることが挙げられています。調味料と具を入れたまま長時間置かないことも大切です。
お米は、計量・手早い洗米・30分以上の浸水という基本を守ると、炊き込みでも芯が残りにくくなります。米穀安定供給確保支援機構の資料では、炊き上がったら蒸らしたあと釜の底から大きく掘り起こすようにほぐすことがすすめられています。駅弁のように冷めてから食べる場合も、炊き上がり後にすぐほぐして余分な水分を逃がしておくと、べたつきにくくなります。
ますのすしや鯵の押寿しのような押し寿司を作るなら、寿司酢がなじみやすい米が向いています。宮城県の資料では、ササニシキは粘りが少なく、寿司酢がシャリにしみ込みやすい米として紹介されています。
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内容は上記の資料をもとに編集部がまとめたものです。商品の価格・在庫は楽天市場の商品ページでご確認ください。誤りのご指摘はお問い合わせから。