「金色の風」「銀河のしずく」に続く岩手県のオリジナル品種「白銀のひかり」。県北地域や標高の高い地域に向けて開発され、令和7年10月に県内で販売が始まりました。県の試験では、米飯の外観は銀河のしずく並みに優れ、食味はいわてっこ並みとされています。この記事では、岩手県の資料をもとに、白銀のひかりの成り立ち、特徴、合う料理、令和8年産の商品までを紹介します。
・白銀のひかりは岩手県農業研究センターが銀河のしずく×ふ系243号から育成した、県北・高標高地向けの県オリジナル品種
・令和7年(2025年)から本格生産が始まり、10月28日に県内のスーパーなどで販売開始。いわてっこに代わる品種です
・米飯の外観は銀河のしずく並みに優れ、食味はいわてっこ並み。倒れにくく、やや多収です
「白銀のひかり」とは|金色の風・銀河のしずくに続く岩手の新品種
| 産地 | 岩手 | 岩手 | 岩手 | 岩手 |
|---|---|---|---|---|
| 粘り | データなし | ふつう | ふつう | もっちり |
| 硬さ | データなし | ふつう | ふつう | やわらか |
| 食味 | — | 特A | — | — |
| 1kgあたり | — | ¥939〜 | — | — |
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粘り・硬さは編集部の目安(5段階)。食味は日本穀物検定協会「米の食味ランキング」第55回(令和7年産米)。価格は2026年10月9日時点の楽天市場の令和8年産(広告)。お米の品種一覧で全品種を比べる
白銀のひかりは、岩手県農業研究センターが育成したうるち米の新品種です。育成中の系統名は「岩手141号」。平成26年(2014年)に「岩手107号(銀河のしずく)」を母、「ふ系243号」を父として人工交配し、約10年をかけて選抜・固定しました。岩手県は「金色の風」「銀河のしずく」に続く県オリジナル水稲新品種と位置づけています。
育成の目的は、耐冷性に優れた県北地域向けの良食味品種をつくることでした。岩手県の中南部の高標高地や北部では、平成13年に奨励品種となった早生の「いわてっこ」が作られてきましたが、倒れやすさが十分に改善されておらず、収量を増やして所得を上げることが難しい状況でした。そこで、倒れにくく、収量が多く、味のよい早生品種として開発されたのが白銀のひかりです。
デビューは令和7年(2025年)です。1月24日に名称が発表され、同年から本格生産が始まりました。10月26日に盛岡市の「ISAI PARK」でデビューイベントが開かれ、10月28日から県内のスーパーや米穀専門店で販売が始まっています。
| 項目 | 白銀のひかりの基本データ |
|---|---|
| 育成 | 岩手県農業研究センター(担当:県北農業研究所ほか) |
| 系統名 | 岩手141号 |
| 交配 | 岩手107号(銀河のしずく)(母)× ふ系243号(父)(平成26年) |
| 名称発表 | 令和7年1月24日 |
| 本格生産・販売 | 令和7年から。10月28日に県内で販売開始 |
| 早晩性 | 早生の中 |
| 栽培適地 | 県北部・沿岸北部の全域と、県中部・沿岸南部の標高240m以上 |
| 令和7年産の1等比率 | 96.9%(岩手県産米レポートより) |
| 食味ランキング | 第55回(令和7年産)の産地別ランキング表に掲載なし |
名前の由来
名称は、主な産地となる久慈・二戸・八幡平の各農業改良普及センター管内の生産者や関係機関・団体から募集し、応募のあった191点の案をもとに選考委員会で決まりました。岩手県の発表では、「銀河のしずく」ゆずりの粒の白さを「白銀」で表し、本県の稲作を照らす希望の「ひかり」になってほしいという思いが込められています。
デビューイベントでは、全農岩手県本部が株式会社ヘラルボニーと制作した新しいロゴマーク(ロゴデザイン:同社契約作家 小林覚氏)が発表されました。
白銀のひかりの特徴|いわてっこと比べてどう違う?
岩手県農業研究センターの試験研究成果書(令和5年度)では、白銀のひかり(岩手141号)をいわてっこと比べています。下の表は県北農業研究所での奨励品種決定本調査(令和3〜5年、標肥区)の値です。
| 項目 | 白銀のひかり | いわてっこ |
|---|---|---|
| 出穂期 | 7月29日 | 8月1日 |
| 成熟期 | 9月14日 | 9月14日 |
| 稈長 | 73.4cm | 79.0cm |
| 穂数 | 392本/㎡ | 451本/㎡ |
| 一穂籾数 | 75.4粒 | 61.9粒 |
| 耐倒伏性 | やや強 | やや弱 |
| 障害型耐冷性 | 強 | 強 |
| 葉いもち/穂いもち | 極強/やや強 | 中/強 |
| 精玄米重 | 59.8kg/a(105%) | 56.9kg/a(100) |
| 千粒重 | 23.6g | 22.6g |
| 整粒歩合 | 33.5% | 48.8% |
| 玄米タンパク質 | 6.0% | 6.1% |
出典:岩手県農業研究センター「良食味で収量及び栽培特性に優れる早生粳水稲品種『岩手141号』」(R5-普-02)。整粒歩合は穀粒判別機による測定値で、目視などの補正はしていません。
成果書では、白銀のひかりの長所を「耐倒伏性、大粒、多収、良食味」、短所を「玄米品質」とまとめています。背丈がいわてっこより短く、倒れにくいこと、穂の数は少ないものの1穂あたりの籾が多く、粒が大きいことで、収量がやや多くなります。県の栽培マニュアルでも、令和6年の生育診断圃(6地点平均)で精玄米重は620kg/10aと、いわてっこ(582kg/10a)の107%でした。
寒さへの強さも特徴です。障害型耐冷性は、冷害に強いいわてっこと同じ「強」。葉いもちへの抵抗性は「極強」です。一方で、整粒歩合はいわてっこをやや下回り、胴割粒がやや多くなる傾向があるため、刈り遅れに注意するよう示されています。
食味の評価
食味は、米飯の外観が優れ、いわてっこ並みの良食味と評価されています。県北農業研究所での食味官能試験(基準品種いわてっこ、令和2〜5年)の平均は、外観+0.25、香り+0.14、味+0.13、粘り+0.03、硬さ−0.09、総合+0.14でした。令和2年と令和4年には、外観の評価がいわてっこより有意に高い結果が出ています。県の栽培マニュアルでは「米飯の外観は『銀河のしずく』並みに優れ」と書かれており、名前の「白銀」が表す炊き上がりの白さが、データの上でも裏付けられています。
いわて純情米の公式サイトでは、白銀のひかりを「親ゆずりの輝く白さとしっかりとした粒感、やさしい甘みが特徴」と紹介しています。炊き上がりはふんわりふっくら、やわらかいのにしっかりした粒感があり、ほどよい粘りと弾力のあるもっちりとした食感、さっぱりとした味わいと説明されています。
どこで作られている?栽培適地と広がり
白銀のひかりは、岩手県の中でも県北地域の気象条件に合わせた品種です。県の資料では、栽培適地を県北部・沿岸北部の全域(宮古市、久慈市、二戸市、八幡平市、葛巻町、岩手町、山田町、岩泉町、田野畑村、普代村、軽米町、野田村、九戸村、洋野町、一戸町)と、県中部・沿岸南部の標高240m以上の地域としています。適地以外では収量や品質が不安定になるため、栽培しないよう求められています。
試験研究成果書では、普及見込面積を令和10年に2,500haとしています。本格生産1年目の令和7年産は、岩手県産米レポートによると1等比率が96.9%でした。県北の米づくりを支えてきたいわてっこに代わり、地域のお米として広がっていくことが期待されています。岩手県のほかの品種は岩手のお米でまとめています。
白銀のひかりに合う料理
白さとしっかりした粒感、やさしい甘み、さっぱりした味わいという特徴から、次のような食べ方が向いています。
白ごはんそのもの:炊き上がりの白さとつやを味わうなら、まずは塩むすびや白ごはんで。
和食・お寿司・中華:いわて純情米の公式サイトでは、さっぱりとした味わいのため和食やお寿司、中華料理などさまざまな料理に合うと紹介しています。
岩手の郷土料理と:せんべい汁やひっつみなど、地元の汁物と一緒に食べるのもおすすめです。
おにぎり・お弁当:粒がしっかりしているので、握っても形が崩れにくい方向です。
白銀のひかりを美味しく炊くコツ
基本は、① 精米日の新しいものを選ぶ(お米は精米後から少しずつ風味が落ちます)、② 最初の水はすぐ捨て、やさしく研ぐ、③ しっかり浸水する(目安は夏30分・冬1〜2時間)、④ 水加減は炊飯器の目盛りを基準に好みで微調整、⑤ 炊き上がったらすぐ底から返してほぐす、の5つです。
白銀のひかりは炊き上がりの白さとつやが持ち味です。研ぐときは力を入れすぎず、最初の水はすぐに捨てるようにすると、ぬかのにおいが移りにくく、すっきりと炊き上がります。
白銀のひかりの保存方法
お米は乾物に見えて、実は温度・湿度・においの影響を受けやすい食品です。袋のまま常温に置くより、密閉できる容器に移して冷蔵庫の野菜室で保存すると、風味の低下や虫の発生を抑えられます。においの強いものの近くは避け、精米後はおおむね1か月を目安に食べきれる量を買うのが、いちばん失敗の少ない方法です。玄米で買って食べる分だけ精米する方法もあります。新米の時期にまとめ買いするなら、5kg袋を複数に分けて届くタイプを選ぶと、開封後の鮮度を保ちやすくなります。
白銀のひかりの商品(令和8年産)
楽天市場で、商品名に「白銀のひかり」と「令和8年」が入った商品を探したところ、2026年10月時点で見つかったのは岩手県岩手町のふるさと納税返礼品1件でした。デビューから間もない品種のため、通販での取り扱いはまだ少なめです。県内のスーパーや米穀専門店のほか、検索結果で最新の出品を確認してください。
岩手県岩手町のふるさと納税返礼品。5kg・10kgから選べる先行予約商品です。発送時期を確認してください。
※商品は2026年10月時点で楽天市場に掲載されている令和8年産の商品から、商品名に品種名が入っているものを選んでいます。ふるさと納税の返礼品は表示額が寄附額です。
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まとめ|白銀のひかりは県北を照らす岩手の新しいお米
白銀のひかりは、岩手県農業研究センターが銀河のしずくとふ系243号から育成し、令和7年から本格生産が始まった県北・高標高地向けの品種です。米飯の外観は銀河のしずく並みに優れ、食味はいわてっこ並み。倒れにくく、粒が大きく、やや多収で、冷害に強い性質も備えています。令和7年10月28日に県内で販売が始まり、令和10年には2,500haの普及が見込まれています。
よくある質問
白銀のひかりはどこのお米?
白銀のひかりはいつデビューした?
白銀のひかりの親の品種は?
白銀のひかりの名前の由来は?
白銀のひかりはどんな味?
白銀のひかりは特A?
- 岩手県農業研究センター 試験研究成果書(R5-普-02)「良食味で収量及び栽培特性に優れる早生粳水稲品種『岩手141号』」(https://www.pref.iwate.jp/agri/_res/projects/project_agri/_page_/002/010/223/r05fukyu_02.pdf)
- 岩手県 記者席配付資料(令和7年1月24日)「県オリジナル水稲新品種『岩手141号』の名称について」(https://www.pref.iwate.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/080/312/01_kennorijinarusuitousinnhinnsyuiwate141gounomeisyou.pdf)
- 岩手県「『白銀のひかり』栽培マニュアル ver.2.0」(令和8年3月)(https://www.pref.iwate.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/078/547/manual_h_v2.pdf)
- 岩手県「令和7年11月 岩手県産米レポート」(https://www.pref.iwate.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/092/152/0711_iwatekome_report.pdf)
- いわて純情米 公式サイト「白銀のひかり」(https://iwate-kome.jp/hakuginnohikari/)
- 日本穀物検定協会 米の食味ランキング 産地別表(令和5〜7年産)(https://www.kokken.or.jp/data/rank_sanchi.pdf)
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