兵庫県が令和7年に送り出した新しいお米「コ・ノ・ホ・シ」。兵庫県とJAグループ兵庫が平成28年から9年かけて育成した、キヌヒカリに代わる品種です。県の資料では高温耐性が「強」とされ、暑い条件でも整った粒が多いことが確かめられています。この記事では、県や普及推進協議会の資料をもとに、コ・ノ・ホ・シの成り立ち、特徴、味、合う料理、令和8年産の商品までを紹介します。
・コ・ノ・ホ・シは兵庫県とJAグループ兵庫が平成28年から共同で育成し、令和7年(2025年)秋にデビューした兵庫県オリジナルの新品種
・キヌヒカリに代わる品種として、高温登熟性と食味を重視して選ばれました。高温条件での整粒率は76.1%(キヌヒカリ56.6%)
・普及推進協議会の紹介では「ほど良い甘みともちもちとした食感」「冷めてもおいしい」お米です
「コ・ノ・ホ・シ」とは|兵庫県が9年かけて育てた新品種
粘り・硬さは編集部の目安(5段階)。食味は日本穀物検定協会「米の食味ランキング」第55回(令和7年産米)。価格は2026年10月9日時点の楽天市場の令和8年産(広告)。お米の品種一覧で全品種を比べる
コ・ノ・ホ・シは、兵庫県とJAグループ兵庫が共同研究契約を結び、兵庫県立農林水産技術総合センターで育成したうるち米の新品種です。育成は平成28年(2016年)に始まりました。県の資料によると、JAグループ兵庫から温室の整備や検査機器の導入などの支援を受け、通常は14年ほどかかる品種育成を9年に短縮しています。
開発のきっかけは、夏の暑さによる品質の低下です。地球温暖化が進むなかで、兵庫県でも夏の高温によってお米が白く濁る被害が目立つようになりました。県の資料では、平成26年〜令和5年の10年平均の1等米比率は全国78.4%に対して兵庫県57.2%、当時の主力品種の一つキヌヒカリは36.6%にとどまっていました。この状況を変えるために、キヌヒカリに代わる、暑さに強くおいしい品種として選ばれたのがコ・ノ・ホ・シです。
選抜は、約10,000系統から500系統、70系統、5系統、3系統、2系統と絞り込み、最終的に1系統に決まりました。令和7年2月に名称とロゴが発表され、同じ時期に品種登録が出願されています。
| 項目 | コ・ノ・ホ・シの基本データ |
|---|---|
| 育成 | 兵庫県・JAグループ兵庫(兵庫県立農林水産技術総合センター) |
| 育成開始 | 平成28年(2016年)交配 |
| 交配の組み合わせ | 越南243号(福井県農業試験場育成)と西南151号(鹿児島県農業開発総合センター育成)※育成担当者の説明による |
| 名称発表・品種登録出願 | 令和7年(2025年)2月 |
| 一般栽培開始 | 令和7年5月(約150ha) |
| 販売開始 | 令和7年9月下旬(県内量販店など) |
| 代わる品種 | キヌヒカリ |
| 高温耐性 | 強(キヌヒカリはやや弱) |
| 食味ランキング | 第55回(令和7年産)の産地別ランキング表に掲載なし |
交配の組み合わせと名前について
兵庫県立農林水産技術総合センターの主任研究員・篠木佑さんはマイナビ農業のインタビューで、交配に使った親として、福井県農業試験場で育成された「越南243号」と、鹿児島県農業開発総合センターが開発した、高温耐性に優れる「西南151号」を挙げています。「高温耐性があるお米と食味の良いお米をかけ合わせると、暑さに強くて美味しいお米を狙えます」という考え方で組み合わせを選んだと説明しています。
開発期間の短縮には、ガラス温室の活用が大きかったといいます。冬場も稲を育てられる体制を整えて年に2回収穫できるようにし、親の性質を子に定着させる「固定」の作業を早めました。高温の評価には、室内温度に連動して温度を自動で調節し、お米が白く濁る高温環境を保てる設備が使われています。
名前の詳しい由来は、県の公表資料では確認できませんでした。普及推進協議会の公式サイトでは、開発の背景を「地球(ホシ)と米の関係を憂い」と表現しており、「ホシ」に地球の意味を重ねていることがうかがえます。
コ・ノ・ホ・シの特徴|キヌヒカリと比べてどう違う?
兵庫県立農林水産技術総合センター農業技術センターの資料では、コ・ノ・ホ・シの特性をキヌヒカリと並べて紹介しています。評価は令和4〜6年の栽培結果によるものです。
| 項目 | コ・ノ・ホ・シ | キヌヒカリ(対照) |
|---|---|---|
| 整粒率(令和5年) | 76.1% | 56.6% |
| 高温耐性 | 強 | やや弱 |
| 葉いもち耐性 | 強 | 中 |
| 穂発芽性 | 中 | やや易 |
| 芒(のげ)の有無 | 有 | 無 |
| 収量 | キヌヒカリ並 | — |
| 食味 | キヌヒカリより良食味 | — |
整粒率は透明で粒張りのよい正常な米粒の割合。令和5年度の栽培で、出穂後20日間の平均気温は29.0〜29.2℃。出典:兵庫県立農林水産技術総合センター「令和7年度にデビューする水稲オリジナル品種」。
注目したいのは整粒率です。出穂後20日間の平均気温が29℃を超える暑い条件で、キヌヒカリが56.6%だったのに対し、コ・ノ・ホ・シは76.1%でした。暑い夏でも白く濁った粒が少なく、見た目のそろったお米になりやすいことを示しています。高温で品質が落ちる仕組みについては高温障害・白未熟粒とは?で詳しく解説しています。
病気への強さも改善されています。葉いもちへの耐性はキヌヒカリの「中」に対して「強」、収穫前の雨で穂についたまま芽が出る穂発芽も、キヌヒカリの「やや易」に対して「中」です。収量はキヌヒカリ並とされています。
味と食感
ひょうごの水稲オリジナル品種普及推進協議会は、コ・ノ・ホ・シを「ほど良い甘みともちもちとした食感が特徴。おかずとの相性が良く、冷めてもおいしい」お米と紹介しています。育成担当者もインタビューで「冷めてももちもちして美味しいお米」として選んだと話しており、理化学分析ではキヌヒカリよりタンパク質含有量が少ないことが確認されたと述べています。お米のタンパク質は少ないほうが炊き上がりがやわらかく、粘りが出やすいとされます。
試食の評価では、香りのあるお茶やふりかけは使わず、ごはんだけで見た目・味・香りを評価したそうです。もちもちとした食感と冷めてもおいしい点は、おにぎりやお弁当で食べる機会の多い人にとって選びやすい性質です。
兵庫県での広がりと栽培方針
一般栽培1年目の令和7年は、JA兵庫六甲、JA兵庫南、JAみのり、JA兵庫みらい、JA兵庫西、JA淡路日の出、JAあわじ島の地域で約150haが作付けされました。県の資料では、9月に約500トンの収穫を見込み、9月22日にJA兵庫みらい加西低温農業倉庫で出荷式が行われ、9月下旬に一般販売が始まっています。普及推進協議会は「2025年10月にデビュー」と紹介しています。
今後の計画として、県の資料には150ha → 1,500ha → 4,500ha → キヌヒカリから全面転換という道筋が示されています(参考:令和5年のキヌヒカリの面積は4,500ha)。育成担当者は、2026年は約1,500haを目指すと話しています。協議会によると、2026年からは県内各地で作付けを広げ、スーパーに加えて県内のJA直売所でも販売が始まります。
栽培方法は、土づくり・減農薬・減化学肥料を基本とする環境創造型農業で進める方針です。優良な種子への更新や栽培履歴の記帳・提出にも取り組みます。また、兵庫県は米の消費量が生産量を上回る県であることから、まずは県内の量販店や学校給食などに届け、県民に親しまれるお米にしていく方針です。
兵庫県は、ヒノヒカリやコシヒカリに代わる新しい高温登熟耐性品種の開発にも引き続き取り組むとしています。コ・ノ・ホ・シは、その第1弾にあたる品種です。兵庫県のお米全体については兵庫のお米でまとめています。
コ・ノ・ホ・シに合う料理
ほど良い甘みともちもちした食感、冷めてもおいしいという特徴から、次のような食べ方が向いています。
おにぎり・お弁当:協議会も「冷めてもおいしい」ことからおむすびやお弁当に合うと紹介しています。
家庭の定番おかずと白ごはん:「おかずとの相性が良い」とされ、焼き魚や煮物、肉じゃがなど毎日の献立に合わせやすいお米です。
兵庫の食材と:いかなごのくぎ煮、淡路島の玉ねぎを使ったおかず、播州の煮物など、地元の味と合わせて食べるのも楽しみ方の一つです。
丼もの:もちもちとした食感は、親子丼や牛丼など、たれのしみたごはんとも合わせやすい方向です。
コ・ノ・ホ・シを美味しく炊くコツ
基本は、① 精米日の新しいものを選ぶ(お米は精米後から少しずつ風味が落ちます)、② 最初の水はすぐ捨て、やさしく研ぐ、③ しっかり浸水する(目安は夏30分・冬1〜2時間)、④ 水加減は炊飯器の目盛りを基準に好みで微調整、⑤ 炊き上がったらすぐ底から返してほぐす、の5つです。
もちもちした食感を楽しみたい場合は、まず炊飯器の目盛りどおりに炊き、やわらかすぎると感じたら次回は水をやや控えめにするなど、2〜3回で好みに合わせていくのがおすすめです。おにぎりにするなら、炊き上がり後にしっかりほぐして余分な水分を飛ばしておくと、形が整いやすくなります。
コ・ノ・ホ・シの保存方法
お米は乾物に見えて、実は温度・湿度・においの影響を受けやすい食品です。袋のまま常温に置くより、密閉できる容器に移して冷蔵庫の野菜室で保存すると、風味の低下や虫の発生を抑えられます。においの強いものの近くは避け、精米後はおおむね1か月を目安に食べきれる量を買うのが、いちばん失敗の少ない方法です。玄米で買って食べる分だけ精米する方法もあります。新米の時期にまとめ買いするなら、5kg袋を複数に分けて届くタイプを選ぶと、開封後の鮮度を保ちやすくなります。
コ・ノ・ホ・シの商品(令和8年産)
楽天市場では、品種名を中黒(・)なしの「コノホシ」と表記した令和8年産の商品が見つかりました。いずれも兵庫県産で、お試しサイズから25kgの玄米まで容量を選べます。「コ・ノ・ホ・シ」の表記では、2026年10月時点で令和8年産の商品は見つかりませんでした。
2合(300g)×2袋のお試しサイズ。メール便で届く小容量なので、食べ比べにも使えます。
コ・ノ・ホ・シをもっと見る
※商品は2026年10月時点で楽天市場に掲載されている令和8年産の商品から、商品名に品種名が入っているものを選んでいます。ふるさと納税の返礼品は表示額が寄附額です。
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兵庫県のお米は兵庫のお米、コ・ノ・ホ・シが置き換えるキヌヒカリはキヌヒカリとは?で紹介しています。暑さでお米の品質が落ちる仕組みは高温障害・白未熟粒とは?、全国の品種を食感で比べたい人はお米大全へ。
まとめ|コ・ノ・ホ・シは暑さに強い兵庫の新しいお米
コ・ノ・ホ・シは、兵庫県とJAグループ兵庫が平成28年から9年かけて育成し、令和7年秋にデビューした新品種です。キヌヒカリに代わる品種として、高温での整粒率の高さ、葉いもちへの強さ、キヌヒカリより良い食味が評価されて選ばれました。普及推進協議会は、ほど良い甘みともちもちとした食感で、冷めてもおいしいお米と紹介しています。令和7年の約150haから作付けを広げる計画で、県内の量販店や学校給食、JA直売所などで出会う機会が増えていく見込みです。
よくある質問
コ・ノ・ホ・シはどこのお米?
コ・ノ・ホ・シはいつデビューした?
コ・ノ・ホ・シはどんな味?
コ・ノ・ホ・シとキヌヒカリの違いは?
コ・ノ・ホ・シは特A?
「コノホシ」と「コ・ノ・ホ・シ」は同じお米?
- 兵庫県「兵庫の水稲新品種『コ・ノ・ホ・シ』」(https://web.pref.hyogo.lg.jp/nk12/originalrice.html)
- 兵庫県立農林水産技術総合センター「令和7年度にデビューする水稲オリジナル品種」(コ・ノ・ホ・シの特徴)(https://web.pref.hyogo.lg.jp/nk12/documents/konohoshitokutyou.pdf)
- ひょうごの水稲オリジナル品種普及推進協議会「本県オリジナルの水稲新品種がR7デビュー」(新品種取組概要)(https://web.pref.hyogo.lg.jp/nk12/documents/torikumigaiyou.pdf)
- 兵庫県 知事記者会見資料(2025年9月17日)「兵庫の新しいお米『コ・ノ・ホ・シ』出荷式の開催」(https://web.pref.hyogo.lg.jp/governor/documents/g_kaiken20250917_02.pdf)
- ひょうごの水稲オリジナル品種普及推進協議会 プレスリリース(2026年9月)(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000191388.html)
- マイナビ農業(2026年5月6日)「兵庫発新品種『コ・ノ・ホ・シ』の9年間の開発秘話」(兵庫県立農林水産技術総合センター 篠木佑 主任研究員へのインタビュー)(https://agri.mynavi.jp/2026_05_06_494184/)
- ひょうごの水稲オリジナル品種普及推進協議会 公式サイト(https://hyogo-original-rice.jp/)
- 日本穀物検定協会 米の食味ランキング 産地別表(令和5〜7年産)(https://www.kokken.or.jp/data/rank_sanchi.pdf)
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