愛媛県が16年をかけて育成したブランド米「ひめの凜」。名前は県民投票で決まり、2019年に誕生しました。県の研究報告では、光沢があり粘りが強く、ヒノヒカリやにこまるより食味に優れるとされています。この記事では、愛媛県農林水産研究所などの資料をもとに、ひめの凜の味・特徴・品質基準・食味ランキングの評価を整理し、令和8年産の商品も紹介します。
・ひめの凜は愛媛県農林水産研究所が「媛育56号」×「西海245号」から育成した愛媛県オリジナル品種。2019年に誕生し、名前は県民投票で決まりました
・県の研究報告では光沢があり粘りが強く、ヒノヒカリやにこまるより食味に優れる。千粒重24.0gの大粒で、暑さに強いのが特長です
・食味ランキングは令和6年産・令和7年産ともにA’(日本穀物検定協会)
「ひめの凜」とは|愛媛県が16年かけて育てたブランド米
粘り・硬さは編集部の目安(5段階)。食味は日本穀物検定協会「米の食味ランキング」第55回(令和7年産米)。価格は2026年10月9日時点の楽天市場の令和8年産(広告)。お米の品種一覧で全品種を比べる
ひめの凜(ひめのりん)は、愛媛県農林水産研究所が育成したうるち米の品種です。交配したのは当時の愛媛県農業試験場で、平成14年8月に「媛育56号」を母、「西海245号」を父として交配しました。2007年に「媛系1246」、2009年に「媛育73号」の系統名がつき、2009〜2017年に奨励品種決定調査で試験され、2017年に育成を終えています。愛媛県は「16年の歳月をかけて約31,000個の中から選抜」したと紹介しています。
品種登録は2018年9月25日に出願され、令和4年8月25日付で品種登録(第29395号)されました。令和元年度から認定栽培者による一般栽培が始まり、県は「2019年に誕生」としています。令和元年9月の知事会見では、販売開始は10月下旬の予定と発表されました。
🌾 名前は県民投票で決まった
愛媛県の研究報告によると、品種名は県が育成した水稲品種で初めての試みとして、候補をプロポーザル方式で募集し、県民投票で最も票の多かった「ひめの凜」に決まりました。名前には「夏の暑さに強く、大粒でしっかりとした噛みごたえながら、華やかな香りと味わいを備えたお米の、凜とした魅力を表現したい」という思いが込められています。コンセプトは「つよく美しく味わい華やか愛媛のお米」。ロゴは、愛媛の地名の由来となった女神「愛比売(えひめ)」をモチーフにしています。
| 項目 | ひめの凜の基本データ |
|---|---|
| 育成 | 愛媛県農林水産研究所(交配は旧・愛媛県農業試験場) |
| 交配 | 媛育56号 × 西海245号(平成14年8月) |
| 系統名 | 媛系1246(2007年)→ 媛育73号(2009年) |
| 品種登録 | 2018年9月出願/令和4年8月25日登録(第29395号) |
| 一般栽培 | 令和元年度(2019年)から認定栽培者が栽培 |
| 熟期 | 中生(ヒノヒカリより成熟期が4日遅い) |
| 千粒重 | 24.0g(ヒノヒカリ22.7g) |
| 食味ランキング | 令和6年産 A’/令和7年産 A’ |
ひめの凜の味・食感の特徴
愛媛県農林水産研究所の研究報告(第11号、2019年)は、ひめの凜を「炊飯米は光沢があり味が良好で粘りが強く、『ヒノヒカリ』や『にこまる』よりも食味に優れる」と説明しています。研究所での食味官能評価(2013〜2017年、ヒノヒカリを基準)では、総合評価が+0.22でした。また、研究所の資料によると、日本穀物検定協会で行った食味官能試験(2018年産)では総合評価+0.550で、コシヒカリより有意に良好という結果でした。
愛媛県のページでは、ひめの凜を「大粒で透き通るような美しさ」「甘く上質な香りと、大粒でしっかりとした食感」「炊きあがりは一粒一粒ツヤツヤでもっちり。冷めても美味しい」と紹介しています。JA全農えひめも「炊き上がりはもっちり」「噛むほどに口の中で広がる、華やかな香りと甘み」と表現しています。大粒でかみごたえがありながら、もっちりとした粘りがあるのが、ひめの凜の方向性です。
| 項目 | ひめの凜 | ヒノヒカリ |
|---|---|---|
| 玄米千粒重 | 24.0g | 22.7g |
| 玄米の長さ | 5.4mm | 5.1mm |
| アミロース(2016年産) | 17.7%(ヒノヒカリと同等) | — |
| 玄米タンパク | 7.6%(標肥)・7.8%(多肥)、ヒノヒカリと同程度 | — |
| 食味官能(ヒノヒカリ基準) | 総合 +0.22 | 基準 |
出典:愛媛県農林水産研究所研究報告 第11号(2019)。「—」は出典資料で比較値の記載がない項目です。
ひめの凜の栽培特性|暑さに強い大粒米
研究報告に記された主な栽培特性は次のとおりです。
| 項目 | ひめの凜 | ヒノヒカリ |
|---|---|---|
| 出穂期/成熟期 | 8月28日/10月12日 | 成熟期はひめの凜より4日早い |
| 稈長 | 78cm(やや短) | 81cm |
| 精玄米重 | 55.6kg/a(ヒノヒカリ比107%) | 100% |
| 耐倒伏性 | やや強 | — |
| 穂発芽性 | 難 | — |
| 高温年の外観品質 | 3.3 | 5.4 |
外観品質は数値が小さいほど良好。高温年は出穂後20日間の平均気温が27℃以上だった年。出典:愛媛県農林水産研究所研究報告 第11号。
暑さに強い:出穂後20日間の平均気温が27℃以上になった高温年でも、ひめの凜の外観品質は3.3で、ヒノヒカリの5.4より良好でした。研究所の資料では、高温年の白未熟粒の割合は1.2%(ヒノヒカリ3.7%)とされています。名前に込められた「夏の暑さに強く」は、こうした試験結果に裏付けられています。
注意点:一方で、葉いもち病にはやや弱いため、いもち病がよく出る地域では作付けしないよう求められています。適地は標高100m以下を目安とした平坦地で、6月15日以前の田植えが勧められています。
ひめの凜の品質基準|認定栽培者だけが作れるお米
ひめの凜は、認定を受けた栽培者だけが生産できるお米です。愛媛県によると、農家ごとに食味分析を行っており、県域で同じ品種を対象に実施するのは県内で初めての取り組みです。
令和7年産からは区分が見直され、従来の「ハイクオリティ」「スタンダード」を廃止し、「プレミアムクオリティ」とそれ以外の「ひめの凜」の2区分になりました。プレミアムクオリティの主な基準は次のとおりです。
品質基準:1等、玄米タンパク6.3%以下(水分15%換算)、水分14.0〜15.0%、ふるい目1.85mm以上。
栽培基準:種子更新、移植は原則6月22日まで(標高100m以上は6月15日まで)、穂肥診断に基づく施肥、いもち病などの基幹防除。
商品名に「プレミアムクオリティ」「PremiumQuality」と入っているものは、この基準を満たしたお米です。
作付面積と食味ランキングの評価
ひめの凜の作付けは、2019年産の110名・64haから、2020年産は179名・123ha、令和4年産は認定栽培者467名・505haと広がりました。愛媛県の「米・麦・大豆生産振興ビジョン」(令和8年3月)では、令和7年産は1,320ha(見込み)、令和12年産で2,200haを目標としています。令和5年度からは愛媛県の学校給食用米としても使われています。
日本穀物検定協会の「米の食味ランキング」では、愛媛県のひめの凜は次のように評価されています。55回目にあたる令和7年産の結果は、令和8年2月27日に公表されました。
| 産年 | 愛媛県 ひめの凜 | (参考)愛媛県 にこまる |
|---|---|---|
| 令和5年産 | —(掲載なし) | 特A |
| 令和6年産 | A’ | 特A |
| 令和7年産 | A’ | 特A |
A’は「基準米とおおむね同等」の評価です。食味ランキングはその年の天候や出品米によっても変わるので、ひとつの年の結果だけで品種のよしあしを決めるものではありません。このほか、2019年の第21回 米・食味鑑定コンクールでは、西予市産のひめの凜が国際総合部門で金賞を受賞しています。
ひめの凜に合う料理
愛媛県のPRリーフレットでは、ひめの凜は「肉・魚・野菜全てと相性が良く、カレーや丼物でも料理の味をしっかりと引き立てて」くれるお米と紹介されています。県のページでも「お弁当やおにぎりにもピッタリ」とされています。
カレー・丼もの:大粒でしっかりした食感なので、ルウやたれに負けません。
お弁当・おにぎり:県が「冷めても美味しい」と紹介している性質が生きます。
愛媛の魚と:鯛めしなど、瀬戸内の魚を使ったごはん料理と組み合わせるのも、産地らしい楽しみ方です。
ひめの凜を美味しく炊くコツ
基本は、① 精米日の新しいものを選ぶ(お米は精米後から少しずつ風味が落ちます)、② 最初の水はすぐ捨て、やさしく研ぐ、③ しっかり浸水する(目安は夏30分・冬1〜2時間)、④ 水加減は炊飯器の目盛りを基準に好みで微調整、⑤ 炊き上がったらすぐ底から返してほぐす、の5つです。
JA全農えひめは、ひめの凜を炊くときは普段より1合あたり小さじ1杯分、水を多めにすることを勧めています。浸水時間の目安は春・秋50〜60分、夏40〜50分、冬70〜80分と、一般的な目安より長めです。大粒のお米なので、しっかり水を吸わせてから炊くと、もっちりした食感が出やすくなります。研ぎ方はお米の正しい研ぎ方も参考にしてください。
ひめの凜の保存方法
お米は乾物に見えて、実は温度・湿度・においの影響を受けやすい食品です。袋のまま常温に置くより、密閉できる容器に移して冷蔵庫の野菜室で保存すると、風味の低下や虫の発生を抑えられます。においの強いものの近くは避け、精米後はおおむね1か月を目安に食べきれる量を買うのが、いちばん失敗の少ない方法です。玄米で買って食べる分だけ精米する方法もあります。新米の時期にまとめ買いするなら、5kg袋を複数に分けて届くタイプを選ぶと、開封後の鮮度を保ちやすくなります。
ひめの凜の人気商品(令和8年産)
楽天市場に出ている令和8年産のひめの凜から、商品名に「ひめの凜」が入り、ほかの品種とのセットではないものを選びました。現在見つかるのは愛媛県内の市町のふるさと納税返礼品が中心です。
愛媛県西予市産のひめの凜。約5kg・10kgから選べ、定期便もある返礼品です。
愛媛県松前町の返礼品。農薬・化学肥料不使用と表示された玄米で、5〜30kgから選べます。
愛媛県愛南町の返礼品。商品名に「PremiumQuality」と入った10kgの先行予約商品です。
※商品は2026年10月時点で楽天市場に掲載されている令和8年産の商品から、商品名に品種名が入っているものを選んでいます。ふるさと納税の返礼品は表示額が寄附額です。
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まとめ|ひめの凜は「大粒でもっちり、暑さに強い」愛媛のお米
ひめの凜は、愛媛県農林水産研究所が16年かけて育成し、県民投票で名前が決まった愛媛県のオリジナル品種です。研究報告では光沢があり粘りが強く、ヒノヒカリやにこまるより食味に優れるとされ、千粒重24.0gの大粒で、高温の年でも品質が落ちにくいことが確かめられています。認定栽培者だけが作り、令和7年産からはタンパク6.3%以下などの基準を満たした「プレミアムクオリティ」も設けられました。カレーや丼もの、お弁当まで幅広く使える一品として、令和8年産の新米を試してみてください。
よくある質問
ひめの凜はどこのお米?
ひめの凜の名前の由来は?
ひめの凜の親の品種は?
ひめの凜は特Aを取ったことがある?
ひめの凜の美味しい炊き方は?
「プレミアムクオリティ」とは?
- 愛媛県農林水産研究所研究報告 第11号(2019)「水稲良食味新品種‘媛育73号’の育成とその特性」(https://www.pref.ehime.jp/uploaded/attachment/26503.pdf)
- 愛媛県農林水産研究所研究報告 第13号(2021)「2019年及び2020年産‘ひめの凜’の県内各地域における品質の特徴」(https://www.pref.ehime.jp/uploaded/attachment/26484.pdf)
- 愛媛県農林水産研究所 育成品種「水稲良食味新品種‘ひめの凜’」(https://www.pref.ehime.jp/uploaded/attachment/26346.pdf)
- 愛媛県 記者発表資料(平成30年11月26日)(https://www.pref.ehime.jp/uploaded/attachment/74265.pdf)
- 愛媛県 知事記者会見(平成30年11月26日)(https://www.pref.ehime.jp/page/11427.html)
- 愛媛県 知事記者会見(令和元年9月6日)(https://www.pref.ehime.jp/page/11077.html)
- 愛媛県「愛媛のブランド米『ひめの凜』について」(https://www.pref.ehime.jp/page/11403.html)
- 愛媛県農林水産研究所「愛顔のブランド米 極良食味品種‘ひめの凜’」(https://www.pref.ehime.jp/uploaded/attachment/129283.pdf)
- 愛媛県「ひめの凜」プレミアムクオリティ基準(https://www.pref.ehime.jp/uploaded/attachment/134516.pdf)
- 愛媛県「ひめの凜」区分の見直しについて(https://www.pref.ehime.jp/uploaded/attachment/134514.pdf)
- 愛媛県「ひめの凜」PRリーフレット(https://www.pref.ehime.jp/uploaded/attachment/161846.pdf)
- 愛媛県 米・麦・大豆生産振興ビジョン(令和8年3月)(https://www.pref.ehime.jp/uploaded/attachment/178262.pdf)
- JA全農えひめ「ひめの凜」(https://www.zennoh.or.jp/eh/special/himenorin/)
- JA全農えひめ情報(2023年8月号)(https://www.zennoh.or.jp/eh/about/information/pdf/agreed2308.pdf)
- 日本穀物検定協会「令和7年産米の食味ランキングについて」(令和8年2月27日)(https://www.kokken.or.jp/data/R7_shokumi_next.pdf)
- 日本穀物検定協会 米の食味ランキング 産地別表(令和5〜7年産)(https://www.kokken.or.jp/data/rank_sanchi.pdf)
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