米袋やニュースで見かける「1等米」「2等米」。なんとなく「1等のほうがおいしい」と思っていませんか。実は等級は、玄米の粒のそろい方などを見る格付けで、味の評価ではありません。基準の数字と、等級が下がる理由、最近の1等比率まで、農林水産省の資料で確かめながら解説します。
① 等級は農産物検査法にもとづく玄米の格付け。1等・2等・3等・規格外に分かれます。
② 水稲うるち玄米は、整粒(きれいな粒)が1等70%以上・2等60%以上・3等45%以上。
③ 農林水産省は「等級は精米する際の歩留まりの目安であり、おいしさの格付けではない」と説明しています。
お米の等級とは|農産物検査法にもとづく格付け
お米の等級は、農産物検査法(昭和26年法律第144号)にもとづく「農産物検査」で決まります。検査を受けるかどうかは生産者が選べる仕組みで、法律には「米穀の生産者は、その生産した米穀について品位等検査を受けることができる」と書かれています(第3条)。
検査は、農林水産大臣に登録した民間の検査機関の検査員が行います。農林水産省の資料によると、検査員は農産物を「視覚、触覚、臭覚及び聴覚」で確かめます。
等級の役割は、玄米を精米したときにどれだけ白米が取れるか(歩留まり)の目安を全国共通の物差しで示すことです。これにより、現物を見なくても、大量のお米を広い範囲で取引できるようになっています。なお、等級は昭和53年に5等級から3等級(+等外・規格外)に簡素化され、平成13年に「等外」が廃止されて今の形になりました。
1等・2等・3等の基準|数字で見る
基準は農林水産省の告示「農産物規格規程」で決まっています。水稲うるち玄米(ふだん食べるお米)の主な基準は次のとおりです。
| 項目 | 1等 | 2等 | 3等 |
|---|---|---|---|
| 整粒の最低限度 | 70% | 60% | 45% |
| 形質の最低限度 | 1等標準品 | 2等標準品 | 3等標準品 |
| 水分の最高限度 | 15.0% | 15.0% | 15.0% |
| 被害粒・死米・着色粒・異種穀粒・異物の計(上限) | 15% | 20% | 30% |
| うち死米 | 7% | 10% | 20% |
| うち着色粒 | 0.1% | 0.3% | 0.7% |
| うち異種穀粒 | 0.4% | 0.8% | 1.7% |
| うち異物 | 0.2% | 0.4% | 0.6% |
どの等級にも当てはまらないものは「規格外」です(異種穀粒と異物が50%以上混じっていないもの)。また水分の上限は、当分の間、表の数値に1.0%を足した値(16.0%)とされています。
ことばの意味(農産物規格規程)
整粒:被害粒、死米、未熟粒、異種穀粒、異物を除いた粒。
形質:皮部の厚薄、充実度、質の硬軟、粒ぞろい、粒形、光沢、肌ずれ・心白・腹白の程度。
被害粒:発芽粒・病害粒・虫害粒・胴割粒・砕粒などの損傷を受けた粒。
着色粒:粒の表面の全部または一部が着色した粒と赤米。
等級は「おいしさ」の格付けではない
ここがいちばん大切なポイントです。農林水産省は、「農産物検査の等級は、精米する際の歩留まりの目安であり、おいしさの格付けではない」と説明しています。猛暑で白く濁った粒(乳白粒)が増えて等級が下がった年には、「乳白色の粒が多い米もおいしく食べられる」ことを情報発信しています。
おいしさを比べる物差しは別にあります。たとえば日本穀物検定協会の食味ランキングは、基準米と炊いたごはんを食べ比べて「特A」「A」などを付けるもので、等級とはまったく別の評価です。たんぱく質の量などから出す食味値も、等級とは関係ありません。
| 物差し | 何を見る? | 誰が決める? |
|---|---|---|
| 等級(1等・2等…) | 玄米の粒のそろい方・被害粒など(歩留まりの目安) | 登録検査機関の検査員 |
| 食味ランキング(特A・A…) | 炊いたごはんの外観・香り・味・粘り・硬さ・総合 | 日本穀物検定協会の評価員 |
| 食味値 | 機械で測る成分(たんぱく質など) | 分析機器 |
等級が下がるのはなぜ?
農林水産省の検査結果では、2等以下になった理由の内訳が公表されています。令和4年産(確定値)は次のとおりでした。
| 2等以下になった理由 | 令和2年産 | 令和3年産 | 令和4年産 |
|---|---|---|---|
| 形質 | 52.4% | 51.2% | 56.9% |
| 整粒不足 | 19.0% | 20.2% | 22.2% |
| 着色粒 | 22.2% | 18.5% | 15.3% |
天候の影響も大きく、令和5年は記録的な高温で白未熟粒(白く濁った未熟な粒)が各地で多く発生し、1等比率が下がった地域がありました。また高温の年は、斑点米カメムシが発生しやすく、着色粒の原因になったと農林水産省は報告しています。暑さとお米の品質の関係は高温障害・白未熟粒とは?で詳しく解説しています。
1等比率の推移|年によってこんなに違う
検査を受けた水稲うるち玄米のうち、1等になった割合です(農林水産省「米の農産物検査結果」)。
| 年産 | 1等比率 | 数値の時点 |
|---|---|---|
| 令和3年産 | 83.1% | 確定値 |
| 令和4年産 | 78.6% | 確定値 |
| 令和5年産 | 60.9% | 確定値(記録的な高温の年) |
| 令和6年産 | 76.3% | 確定値 |
| 令和7年産 | 75.6% | 速報値(令和8年3月31日現在) |
| 令和8年産 | 65.9% | 速報値(令和8年8月31日現在・前年同期比-0.6) |
令和7年産の等級の内訳は、1等75.6%・2等19.5%・3等3.6%・規格外1.3%(速報値)。令和8年産はまだ検査の途中で、農林水産省は「9月については1等比率が前年産と比べて高くなると見込まれています」としています。
買うときに知っておきたいこと
スーパーなどで売られている精米の袋で、必ず表示しなければならないのは名称・原料玄米・内容量・精米年月日などで、等級は必須の表示項目ではありません。産地・品種・産年をそろえた単一原料米かどうかは袋で確かめられます(くわしくは単一原料米とブレンド米の違い)。
なお、農林水産省が公表する産地・品種ごとの取引価格(相対取引価格)は「1等米の価格」を集計したものです。お米の値段の決まり方はお米の値段はどう決まる?で解説しています。
よくある質問
2等米はおいしくないの?
等級は米袋に書いてある?
検査を受けていないお米は、産地や品種を表示できない?
「特A」と「1等」はどう違う?
1等比率が低い年は何があった?
- 農林水産省「玄米の検査規格」(農産物規格規程)
- 農林水産省「検査用語の解説」
- 農林水産省「農産物規格・検査の概要と取り巻く情勢の変化等について」
- 農林水産省 食糧部会資料「令和5年夏の高温・渇水被害に対する農水省の対応」(令和6年8月27日)
- 農林水産省「令和4年産米の農産物検査結果(確定値)」
- 農林水産省「令和6年産米の農産物検査結果(確定値)」
- 農林水産省「令和7年産米の農産物検査結果(速報値)」
- 農林水産省「令和8年産米の農産物検査結果(速報値)」(令和8年9月30日)
- 農林水産省 水稲の作柄に関する委員会資料(令和5年産)
- 消費者庁「玄米及び精米に係る食品表示制度の改正について」
- 日本穀物検定協会「食味試験」
制度や数値は改正・更新されます。最新の内容は各出典をご確認ください。








