とろろまんま
すり鉢ですりおろしたやまのいもに濃いめの味噌汁を少しずつ加えてのばし、炊きたてのご飯にかけて食べる料理です。長芋よりコシのあるやまのいもを使うのが秋田流とされます。とろみや味をみながら加減し、好みでネギを散らします。
食べる時期・場面
正月三が日や祝儀の翌日
ご飯に湯や水をかけて食べる習慣は古く、平安時代の文学作品には湯漬や水飯がたびたび登場します。熱いお茶をかける茶漬けが日常の食事として定着したのは、煎茶が広まった江戸時代とされ、江戸後期には茶漬けを出す店も繁盛しました。
地域に目を向けると、お茶ではなく味噌仕立ての汁やだしをかける料理も各地に伝わっています。宮崎の冷や汁や愛媛・香川のさつま、深川めしのように、漁師や農家が手早く食べるために生まれたとされる料理も少なくありません。
この特集では、農林水産省「うちの郷土料理」などで確認できた料理だけを、「お茶をかける・お茶で炊く」「だし・汁をかける」「茶漬けにもする料理」「茶漬けの具・お供」の4つに分けて地図で紹介します。
色のついた都道府県をタップすると、その土地のお茶漬け・汁かけごはんが出てきます。
※ 県の色は、紹介しているもの(いちばん上)の分類です。郷土の味は地域・家庭によって違います。
すり鉢ですりおろしたやまのいもに濃いめの味噌汁を少しずつ加えてのばし、炊きたてのご飯にかけて食べる料理です。長芋よりコシのあるやまのいもを使うのが秋田流とされます。とろみや味をみながら加減し、好みでネギを散らします。
正月三が日や祝儀の翌日
納豆と割り干し大根を合わせ、塩や醤油で漬けた保存食です。江戸時代の水戸で、余った納豆を保存するために作られたのが始まりとされ、「しょぼろ納豆」とも呼ばれます。ご飯のおともにするほか、お茶漬けの具や酒の肴としても食べられています。
家庭で日常的に食べられています
すり鉢でごまと味噌を合わせ、きゅうりや大葉、ミョウガなどの野菜をたっぷり加えて作る料理です。うどんのつけ汁として食べられてきましたが、ご飯にかける食べ方もあります。川島町では「すったて」と呼び、野菜もすり鉢ですり合わせます。
夏の農繁期
ネギと生のアサリを味噌でさっと煮て、汁ごとご飯にかけたのが元の形とされる料理です。江戸時代、深川あたりの漁師が船の上で食べていたぶっかけめしが起源といわれます。現在は汁をかける「ぶっかけ」と「炊き込み」の2種類があります。
かつては通年食べられていました。現在は飲食店で食べるのが一般的です
味噌をだし汁でのばし、刻んだきゅうりや青じそを入れて冷やした汁物です。中越地方を中心に、夏に身近な食材で作られてきました。汁物として食べるほか、ご飯や麺にかけて食べることもあります。
暑い夏
ゴマフグの卵巣を塩蔵したあと、佐渡の酒粕で長い期間熟成させた保存食です。江戸時代から作られてきたとされます。酒粕を取り除いて薄く切り、そのまま、または軽く炙って食べるほか、おにぎりの具やお茶漬けにもします。
通年
スルメイカの身を細かく切り、イカスミと一緒に熟成させた塩辛の一種です。加賀藩主が参勤交代の際に将軍家へ献上した記録が残るとされます。酒のつまみのほか、ご飯にのせたり、お茶漬けにしたりして食べられています。
酒やご飯のお供として通年
厚揚げやごぼう、人参、糸こんにゃくなど具の多い熱い汁を、炊きたてのご飯に汁ごとかけて食べる料理です。大正初期から食べられてきたとされ、平皿に盛るのが特徴です。名前は熱い汁をご飯に「ぶっかける」ことから来たという説があります。
祝い事や正月三が日の夕食、結婚式の最後、報恩講の夜食
内臓を取ったサバを塩漬けにし、さらに糠に漬けて長く保存できるようにした料理です。冬を越すためのたんぱく源とされてきました。糠を落として切り、軽く炙って食べるほか、お茶漬けや酒の肴、おにぎりの具などにも使われます。
保存食のため通年
漁師が船の上で食べていたのが始まりとされる伊豆半島の料理です。たたいたアジをご飯にのせ、熱いお茶かお湯、またはだし汁を注いで、醤油とわさびで味を調えます。「まごまごしないで早く食え」が名前の由来とされ、マグロやブリの刺身で作ることもあります。
鮮度のよいアジが出回る夏に家庭で食べられています
自然薯をすりおろしてだし汁と味噌でのばし、麦飯にかけて食べる料理です。東海道の宿場町だった丸子が発祥とされ、『東海道中膝栗毛』や歌川広重の浮世絵、松尾芭蕉の句にも登場します。ご飯にかけたあと、海苔を散らして食べます。
自然薯の収穫期にあたる秋から冬。正月2日に食べる地域もあります
うなぎの蒲焼きを短冊状に刻み、ご飯と一緒におひつに盛った料理です。茶碗に少しずつよそい、1杯目はそのまま、2杯目は薬味をのせ、3杯目はだしかお茶を注いで茶漬けにします。たまりベースのたれを使うため、茶漬けにしても蒲焼きの味が残るとされています。
ちりめんじゃこと実山椒を、酒・しょうゆ・みりん・だし汁で煮たおばんざいです。ご飯やお茶漬けのお供として食べられています。昭和中期に京都の料理人が手土産用に作ったのが始まりとされています。
山椒の葉とちりめんじゃこを、酒と薄口醤油で煮た佃煮です。お茶漬けなどの薬味として使われ、ご飯のお供やおにぎりの具にもなります。京料理やおばんざいでは、山椒の香りを季節ごとに楽しんできました。
山椒の葉が出回る4月ごろ
サバやイワシを塩と米糠に漬け込んだ保存食で、半年から1年で食べごろになります。糠を落として焼き、ごはんやお茶漬けの具、酒の肴として食べられています。漁師が魚を樽に漬けた習慣から生まれたとされています。
秋から冬に漬け込み、半年から1年後が食べごろ
茶漬け飯、つまりお茶漬けのことを指す言葉で、京都など関西地方で使われます。料理の名前というより、お茶漬けそのものの呼び方として辞書に載っています。
炊いたご飯にほうじ茶と塩を加え、好みの濃さまで煮る粥です。「大和の朝は茶粥で明ける」といわれる朝食の定番で、1200年以上前から食べられていたとされています。現在は旅館やホテルの朝食で味わえます。
朝食
番茶やほうじ茶を煮出した中に米を入れて炊く粥です。米どころが少ない土地で、少ない米でも満腹になるよう生まれたとされています。冷たい白飯やちらしずしの上にかけて食べる若い人もいる、と紹介されています。
農作業後ののどの渇きと空腹を満たす食事
タイのだしで煮た野菜や豆腐などの具をごはんの下にうずめ、わさびをのせて、鍋のだしをかけてお茶漬け風にして食べる料理です。昭和14年に日本五大名飯の一つに選ばれたとされています。
寒い冬の晩ごはんや、正月行事「春神楽」のもてなし料理
煮た野菜や鯛、小エビなどの具をわんに入れて汁をかけ、その上にご飯を盛って食べる料理です。具をご飯の下に埋めて質素に見せたのが始まりとされています。だしは沿岸部ではいりこ、山間部では干ししいたけを使います。
昭和40年代までは秋の収穫祝いの料理。現在は学校給食などで出されます
ほうじ茶を煮出した中に米を入れて炊く粥で、さつまいもを加えることもあります。17世紀初め、米の節約のために岩国藩主が勧めたことで県内に広まったとされています。
年間を通して家庭で食べられ、冬は温かく、夏は冷やして食べます
焼いたタイなどの白身魚をほぐし、焼き目を付けた味噌と魚のだし汁でのばして、熱いごはんにかけて食べる料理です。魚が多くとれたときの日常食で、九州から四国へ海岸づたいに伝わったとされています。
魚が豊漁のときの日常食。現在は学校給食でも出されています
南予地方では、生のタイの切り身を醤油を使ったたれに漬け込み、熱いごはんにかけて食べます。火を使えない船の上でも作れる料理として、漁師が食べたのが始まりとされています。東予地方の鯛めしは炊き込み式です。
年間を通して食べられ、お祝いの席でもよく出されます
焼いた白身魚の身をほぐして麦味噌とすり合わせ、骨でとっただし汁でのばして温かい麦飯にかけて食べます。こんにゃくやねぎ、みかんの皮をのせます。漁師が船の上で食べたと伝えられる料理です。
夏場の食欲が落ちる時期によく食べられます
大豆と番茶を煮出したお茶を茶碗に注いで茶せんで泡立て、黒豆ごはんを入れて、細かく切ったれんこんやかまぼこなどをのせて食べます。松山藩が質素倹約を勧めた時代に、もてなし料理として工夫されたと伝えられています。
松山市の蓮生寺の花まつり(ゴールデンウィーク頃)で出されます
薄めに切ったサバの刺身を、すったごまと醤油、みりんで和えた料理です。熱いごはんにのせるほか、わさびともみのりをふり、熱い番茶をかけて茶漬けにしても食べられます。
年間を通して食べられ、秋から早春にかけてサバの脂がのります
番茶を煮出した茶汁で米を炊く粥です。幕末の佐賀藩主が出した質素倹約令のもと、米を節約する方法として生まれたとされています。嬉野では嬉野茶を使って作られています。
商家の使用人の朝食。現在は県内の宿泊施設の朝食で味わえます
ブリやアジ、サバなどの刺身を、醤油・砂糖・酒・ごま・しょうがのたれに漬け込んだ料理です。熱いごはんにのせても、お茶漬けにしても食べられます。沿岸部の漁師の間で広まったとされています。
その時期にとれる魚で、年間を通して作られます
マグロを醤油やごま、卵などで作るたれに漬けてごはんにのせる丼です。最後に少し残してお茶漬けにすると二度楽しめる、と紹介されています。保戸島の漁師が漁の合間に手早く食べる料理として考えたとされています。
かつては結婚式などのお祝いの席。現在は飲食店やイベントで食べられます
焼いたエソの身をほぐし、ごまや醤油、みりんと合わせて作る調味料です。湯で溶いた「ごまだしうどん」が一般的な食べ方で、お茶漬けやそうめんのつけ汁にも使われます。近年はアジやサバでも作られています。
日常的に食べられています
いりことごまを合わせた味噌を、味噌汁より濃いめの汁にして冷やし、熱い麦飯にかけて食べる料理です。農家が夏に麦飯へ生味噌をのせ、水をかけて食べていたのが始まりとされています。
かつてはお盆に親戚が集まった宴席の締め。現在は暑い季節に食べられています
ほぐした鶏肉や錦糸卵、干ししいたけ、パパイヤの味噌漬けなどを白いごはんに盛り、鶏ガラのスープをかけて食べる料理です。スープをかける食べ方は昭和に入ってから広まったとされています。
年間を通して食べられ、祝い事やもてなしの席でよく作られます
ご飯に湯をかける「湯漬」や、冷たい水をかける「水飯」は、『源氏物語』をはじめ平安時代の文学作品によく出てきます。『今昔物語集』には「冬は湯漬、夏は水漬」という表現もあり、季節で食べ分けていたことがうかがえます。
室町時代には湯漬が好まれ、宴席での出し方や食べ方の決まり事まで作られたとされます。お茶をかける形がいつ始まったかは辞典によって書き方が異なりますが、日常の食事として定着したのは江戸時代に煎茶が広まってからと説明されています。
江戸後期には手軽な食事を出す茶漬屋が各地で繁盛しました。安永年間の初めには浅草に「海道茶漬」、天明年間には下谷に7種の漬物を添えた「七色茶漬」が開店したと記録されています。
お茶をかける茶漬けは、香りが立ち、後味がさっぱりします。百科事典では、茶漬けには焙じた番茶の浸出湯がよいと紹介されています。博多の胡麻鯖では熱い番茶をかける食べ方が紹介されています。
一方、郷土料理には、だしや味噌仕立ての汁をかけるものが多くあります。冷や汁やさつまは味噌と魚やごまを合わせた汁、鶏飯は鶏ガラのスープ、うずめ飯はタイのだしをかけます。ひつまぶしのように、だしとお茶のどちらでもよいとされる料理もあります。
お米の粘りは、でんぷんの成分であるアミロースとアミロペクチンの割合で変わり、アミロースが多いほど粘りが少なく硬め、アミロペクチンが多いほどもちもちと柔らかくなる傾向があります。汁やお茶をかけたときに粒がほぐれやすい、さらっとした食感が好みなら、粘りの控えめなお米や、少し硬めの炊き上がりを選ぶのが一つの目安です。
炊くときは、たっぷりの水で手早くやさしく洗い、30分から60分ほど浸水させます。炊き上がったらすぐにほぐすと、粒が立った仕上がりになります。冷や汁や茶粥のように麦飯や冷やご飯を使う郷土料理もあるので、料理に合わせて炊き分けるのも楽しみ方の一つです。
漁師料理から生まれたまご茶漬けや鯛めし(宇和島風)、りゅうきゅうなどは、鮮度のよい刺身を使うのが前提の料理です。家庭で作るときは、刺身用として売られている新鮮な魚を使いましょう。
へしこやちりめん山椒のような保存食や佃煮は、ご飯にのせて熱いお茶をかけるだけで、手軽に地域の味を楽しめます。お取り寄せで試すのも一つの方法です。
楽天市場の検索結果にリンクしています(広告)。
内容は上記の資料をもとに編集部がまとめたものです。商品の価格・在庫は楽天市場の商品ページでご確認ください。誤りのご指摘はお問い合わせから。