「ごはんは冷ましてから詰める」とよく言われます。なぜなのか、どこまで冷ませばよいのか。そして夏場はどこに気をつければよいのか。厚生労働省と農林水産省の資料をもとに整理します。
① 温かいまま詰めると蒸気がこもって水分になり、細菌が増えやすくなります。
② 菌が増えやすいのはおおむね20〜50℃。この温度帯にいる時間を短くするのがコツです。
③ 夏場は保冷剤と保冷バッグ。10〜65℃は菌が増えやすい温度と東京都が注意喚起しています。
なぜ冷ましてから詰めるのか
農林水産省の説明は明快です。
「温かいうちに盛りつけてしまうと、お弁当箱に蒸気がこもって水分となり、細菌が増えやすくなります。調理後、器に移してしばらく時間を置き、常温まで冷ましてから詰めましょう」
水分は細菌にとって好条件です。同じ理由で、おかずの汁気もよく切る必要があります。
どこまで、どう冷ますか
家庭向けの具体的な数値目標は公的資料に見当たりませんが、事業者向けの基準が参考になります。厚生労働省の大量調理施設衛生管理マニュアルでは、菌が増えやすい温度帯(おおむね20〜50℃)にいる時間を短くするため、清潔な容器に小分けしたうえで次のように定めています。
| 目標 | 時間 |
|---|---|
| 中心温度を20℃付近まで下げる | 30分以内 |
| 中心温度を10℃付近まで下げる | 60分以内 |
家庭でここまで厳密にする必要はありませんが、「浅く広げて手早く冷ます」ことの意味は分かります。炊きたてを弁当箱に直接入れて放置するのは、いちばん避けたい形です。
うちわや保冷剤で冷ますことについて
冷ます手段としてうちわや保冷剤を名指しで推奨する公的資料は見つかりませんでした。保冷剤について公的資料が触れているのは、持ち運ぶときの温度管理の文脈です。
詰めるときの基本
農林水産省が挙げているポイントです。
- 水分が多いと細菌が増えやすいので、汁気はよく切る
- すき間なく詰める
- 清潔な箸で詰める(手で直接触れない)
なお、ごはんを詰める厚みや押し加減について述べた公的資料は見つかりませんでした。ただし、おにぎりの握り方で農林水産省が「握手をするときくらいの握力」としていることを踏まえると、ごはんを押し固めないほうがふんわり仕上がる、という考え方は共通していそうです(おにぎりの握り方もどうぞ)。
夏場の温度管理
東京都は「10〜65℃は菌が増えやすい温度」とし、「必要に応じて、保冷剤などで低温を保ち」と呼びかけています。農林水産省も「長時間持ち歩くときは、保冷剤や保冷バッグを利用」としています。
時間の目安としては、事業者向けの基準が参考になります。大量調理施設衛生管理マニュアルでは、すぐに提供しない食品は10℃以下または65℃以上で管理し、「調理後の食品は、調理終了後から2時間以内に喫食することが望ましい」とされています。
食中毒予防の3原則は「つけない」「ふやさない」「やっつける」。お弁当では、清潔な器具でつけない、冷まして低温を保ちふやさない、が中心になります。
冷凍食品を使うときの注意
凍ったまま詰められる「自然解凍OK」の冷凍食品があります。これは表示があるものだけの話です。
日本冷凍食品協会によると、自然解凍を認められた商品は35℃で9時間保存した後の細菌試験と官能試験をクリアしたものです。表示のない冷凍食品は、表示どおりに加熱してから詰める必要があります。
なお、家庭で冷凍したごはんをそのまま弁当に入れることについての公的な注意は見つかりませんでした。解凍にかかる時間の分だけ危険な温度帯にとどまる可能性があるため、温め直してから冷ますほうが確実です。
ごはんが固くなるのを防ぐには
お弁当のごはんが硬くなるのは、でんぷんの老化によるものです。研究報告によれば、老化の速度は0℃付近で最大になり、冷蔵状態の米飯は老化が速く進みます。一方、凍結状態では老化が抑制されます。
したがって、前日のごはんを冷蔵庫で保存して翌朝詰めるのは、食感の面では不利です。当日炊くか、炊きたてを冷凍しておいて朝に温め直し、冷ましてから詰めるほうが美味しく仕上がります。
品種から選ぶなら、冷めても美味しいタイプがあります。お弁当に合うお米ランキングで紹介しています。
よくある質問
ごはんはどこまで冷ましてから詰めればいいですか?
温かいごはんを詰めてはいけないのはなぜですか?
夏場のお弁当で気をつけることは?
冷凍食品はそのまま入れてもいいですか?
- 農林水産省 広報誌aff(お弁当作りのポイント)
- 農林水産省 お弁当づくりによる食中毒を予防するために
- 厚生労働省 大量調理施設衛生管理マニュアル
- 東京都 食中毒Q&A
- 日本冷凍食品協会 自然解凍について
制度や数値は改正・更新されます。最新の内容は各出典をご確認ください。








