KOME FUN READING
お米の種類

お米の系統名の読み方|「○○○号」が品種になるまで【2026】

きらら397は「上育397号」、コシヒカリは「越南17号」。お米の系統名は育成した試験場と通し番号を表します。番号の読み方と、…

お米ふぁん編集部 著公開 2026.09.18更新 2026.09.18

「きらら397」の397は何の数字かご存じですか。実はこれ、生まれたときの名前の一部です。お米には品種名が付く前に「系統名」という番号があり、そこには生まれた場所が刻まれています。番号の読み方を知ると、品種の見え方が変わります。

⏱ 3行でわかる結論

① 系統名は育成した試験場+通し番号。きらら397は「上育397号」=上川農業試験場の397番目の系統でした。

② コシヒカリの系統名は越南17号。福井県の農事試験場で付けられた番号です。

③ 交配から品種になるまで、コシヒカリは12年かかりました。いまでも8年前後かかります。

系統名とは|生まれた場所と順番

品種名が付く前のお米には、開発中の識別番号が付いています。これが系統名(育成番号)です。

北海道立総合研究機構の公式サイトが、きらら397についてはっきり説明しています。「397というのは、上川農業試験場で作った第397番目の系統という意味で、品種の名前が付く前には上育397号と呼んでいた」。

つまり系統名は、どこで生まれた何番目の系統かを表す記号です。品種名が付いたあとも、資料や親品種の記載では系統名が使われ続けます。

接頭辞でわかる、生まれた場所

一次資料で確認できた対応です。

系統名の接頭辞 育成した機関 例
上育 北海道 上川農業試験場 きらら397(上育397号)、ゆめぴりか(上育453号)
空育 北海道 中央農業試験場(空知) ななつぼし(空育163号)、そらきらり(空育195号)
北海 農研機構 北海道農業研究センター 雪ごぜん(北海313号)
越南 福井県 農業試験場 コシヒカリ(越南17号)、あきさかり(越南208号)
東北 宮城県 古川農業試験場 ひとめぼれ(東北143号)、ササニシキ(東北78号)
奥羽・陸羽 農研機構 東北農業研究センター(大仙) 奥羽400号 ほか
関東 農研機構 作物研究部門 さとじまん(関東209号)
北陸 農研機構 中日本農業研究センター北陸研究拠点 北陸193号、あみちゃんまい(北陸254号)
中部 愛知県 農業総合試験場山間農業研究所 みねはるか(中部111号)
秋田 秋田県 農業試験場 あきたこまち(秋田31号)
山形 山形県 農業総合研究センター つや姫(山形97号)、はえぬき(山形45号)
新潟 新潟県 農業総合研究所 こしのめんじまん(新潟79号)
石川 石川県 農林総合研究センター 石川65号(商標名「ひゃくまん穀」)
青系 青森県 産業技術センター 青天の霹靂(青系187号)
中国/西海 農研機構 西日本農研/九州沖縄農研 中国191号、西海296号 ほか

ややこしいのは、接頭辞が必ずしも県名や所在地と一致しないことです。たとえば「東北○号」は農研機構ではなく宮城県古川農業試験場の系列、「中部○号」は愛知県の試験場です。これは、国の「農林水産省指定試験地」に指定された県立試験場が、国の育種地域名で系統番号を付ける運用があるためです。

似ているが別のもの「羽系○号」

「羽系」は地方番号(いわゆる系統名)ではなく、東北農業研究センターが内部で使う系統番号の接頭辞です。たとえば奥羽400号の系統番号が「羽系849」。表に出てくる番号とは別の管理番号です。なお「羽州○号」という接頭辞は、今回の調査では一次資料で確認できませんでした。

もうひとつの番号「水稲農林○号」

コシヒカリには「水稲農林100号」という番号もあります。こちらは系統名とは別の、国が付ける番号です。

根拠は法律ではなく、農林水産技術会議事務局長の通知(平成27年3月9日)です。種苗法にもとづく品種登録の出願を行った品種について、試験研究機関の申請を受けて番号を付け、公表します。公表される内容には、農林番号・品種名・旧系統名・特性・育成担当者・栽培適応地域が含まれます。

番号は作物名を冠した通し番号で、もち米は「農林糯」、一代雑種は「交」といった区別があります。たとえば「平25水稲農林450号=あみちゃんまい」という形です。

なお、この制度が2026年現在も運用されているかは確認できませんでした。公表を確認できた最新は平成28年度分で、公表ページは現在閲覧できません。農林認定品種のデータベースも2026年2月にサービスを終了しています。

コシヒカリができるまでの12年

新潟県の公式サイトに、コシヒカリの誕生までの年表が残っています。

年 出来事
昭和19年(1944) 新潟県農事試験場で農林22号×農林1号を人工交配
昭和21年 F1の栽培と選抜を開始
昭和23年 3,000個体から65株を選抜、20株を福井の実験所へ引き継ぐ
昭和28年 系統名「越南17号」を付与、22県へ配って試作開始
昭和29年 新潟県農試が本場・試験地8か所と現地27か所で栽培試験
昭和31年(1956) 新潟県・千葉県が奨励品種に採用、農林100号「コシヒカリ」として命名登録

交配から品種の誕生まで12年です。北海道立総合研究機構によると、きらら397は「かけあわせてから品種になるまで8年」で、「昔にくらべると3〜4年も短くなりました」とのこと。それでも、ひとつの品種が世に出るには10年前後かかります。

ちなみに当時の命名にはルールがありました。新潟県の資料には「登録にあたっての品種の命名は、カタカナ5文字以内の美しい日本語で行うこととなっていました」とあります。

品種登録・命名登録・奨励品種、何が違うのか

似た言葉が並びますが、性質はまったく違います。

根拠 効果
品種登録 種苗法(平成10年法律第83号) 育成者権が発生し、業としての利用を専有できる
命名登録(農林番号) 農林水産技術会議事務局長の通知 番号と名称が公表される。権利は発生しない
奨励品種の採用 都道府県が実施(旧・主要農作物種子法) その県で普及を推奨する品種になる

品種登録の要件と期間

種苗法の品種登録には、区別性・均一性・安定性という3要件に加え、名称が適切であること(1品種1名称、登録商標と紛らわしくないこと)、まだ譲渡していないこと(国内1年・外国4年以内)が求められます。出願から登録まで、通常2〜3年の審査期間がかかります。

育成者権の存続期間は品種登録の日から35年(永年性植物は40年)です。これは2026年7月24日施行の改正で、従来の25年・30年から10年延長されたものです。

奨励品種のいま

奨励品種は、かつて主要農作物種子法(昭和27年法律第131号)にもとづき、都道府県が試験を行って決めていました。ただし同法は平成30年4月1日に廃止されています。廃止後にどの根拠で奨励品種が決められているかは、今回は確認できませんでした(都道府県の条例や要領によるとみられます)。

系統名のまま売られているお米

ふつうは品種名が付いてから世に出ますが、系統名のまま流通しているお米もあります。

これは例外ではありません。農林水産省の品種登録データベースでイネの登録品種を調べると、名称に「号」を含むものが244件あり、そのうち系統名の形をした名称が56件あります。

  • 北陸193号(登録番号19051・2010年登録):インド型の超多収品種で、玄米収量は日本晴より2割多収。飼料用やバイオエタノール用として期待されています
  • 石川65号(2017年登録):品種名は「石川65号」のままで、米としての商標名が「ひゃくまん穀」です
  • 東北194号(2014年登録):食味・炊飯特性がササニシキに近い品種。大崎市が基準を満たしたものを「ささ結」として認証しています
  • 秋田63号(2005年登録):超多収品種で、用途は酒造用のかけ米、麹、米粉を使う製菓など
  • 山形119号:「はえぬき」に葉いもちへの抵抗性を持たせた同質遺伝子系統

酒米や糯米では「石川酒30号」「山形糯98号」のように、用途を表す文字を挟んだ名称もそのまま登録されています。

なぜ名前を付けないのか、公式の説明は見つかりませんでした。ただし56件の顔ぶれは飼料用・加工用・酒造用・米粉用・観賞用・品種改良の親といった、消費者が銘柄として選ばない用途に偏っています。飼料用米についてはこちらの記事で解説しています。

有名品種の旧系統名

農研機構のイネ品種データベースで確認できた、主な品種の系統名です。

品種名 系統名 育成地
コシヒカリ 越南17号 福井県 農事試験場
ササニシキ 東北78号 宮城県 古川農業試験場
あきたこまち 秋田31号 秋田県 農業試験場
ひとめぼれ 東北143号 宮城県 古川農業試験場
はえぬき 山形45号 山形県 農業試験場庄内支場
きらら397 上育397号 北海道 上川農業試験場
ななつぼし 空育163号 北海道 中央農業試験場
ゆめぴりか 上育453号 北海道 上川農業試験場
つや姫 山形97号 山形県 農業総合研究センター
青天の霹靂 青系187号 青森県 産業技術センター

並べてみると、北海道の2大銘柄が上川と中央という別々の試験場から出ていることや、ササニシキとひとめぼれが同じ古川農業試験場の系列であることが見えてきます。

番号を知ると、品種の見え方が変わる

系統名が読めると、品種の来歴が立体的に見えてきます。「越南17号」と聞けば、コシヒカリが新潟で交配され福井で育てられたことが思い出せます。「上育397号」なら、上川農業試験場で397番目に生まれた系統だと分かります。

品種の親子関係をたどりたい方はコシヒカリ系統図、品種そのものを探したい方はお米大全をどうぞ。

よくある質問

きらら397の「397」は何の数字ですか?
上川農業試験場で作られた397番目の系統という意味です。品種名が付く前は「上育397号」と呼ばれていました。
コシヒカリの系統名は何ですか?
「越南17号」です。福井県立農事試験場で付けられた系統名で、昭和31年に農林100号「コシヒカリ」として命名登録されました。
品種ができるまでどれくらいかかりますか?
コシヒカリは交配から12年かかりました。きらら397は8年で、北海道立総合研究機構によれば昔より3〜4年短くなっています。
品種登録の権利は何年続きますか?
品種登録の日から35年(永年性植物は40年)です。2026年7月24日施行の改正で、従来の25年・30年から10年延長されました。

🌾 もっとお米を探す食感で選べる全種類カタログや図鑑で、ぴったりのお米が見つかります。

この記事をシェア 𝕏 でシェア LINEで送る
米
お米ふぁん編集部

品種・産地・炊き方を、公的機関や産地の公開資料、図鑑データをもとにまとめています。掲載内容の誤りはお問い合わせからお知らせください。運営者情報